第1回「1mmの小さな宇宙飛行士!線虫が教えてくれる地球1Gの大切さ」
講師:東谷 篤志 先生
東北大学 大学院生命科学研究科 分子化学生物学専攻 教授
スペースクロステック研究センター 副センター長(兼務)
配信期間:2026年10月16日(金)13時 〜10月26日(月)13時
宇宙の無重力環境では、宇宙飛行士やマウスの骨や筋肉が急速に弱くなることが知られています。これは、地上では重力に逆らって体を支えているのに対し、宇宙ではその負荷がほとんどなくなるためと考えられてきました。私たちは、体長約1mmの小さな生き物「線虫」を宇宙で育て、その影響を調べました。その結果、卵から成虫まで成長するわずか4日間の宇宙滞在でも、筋肉量やエネルギーを生み出すミトコンドリアの働き、さらに運動能力が低下することが分かりました。
さらに、無重力で体が浮くことで、周囲との軽い接触や刺激が減り、それが神経や筋肉の発達や機能の低下につながることを明らかにしました。また、この影響は発達段階だけでなく、老化に伴う神経や筋肉の衰えも悪化させることが示されました。これらの結果から、宇宙だけでなく地上においても、運動に加えて体への適度な刺激が健康維持に重要であり、マッサージなどの工夫が役立つ可能性があると考えられます。
本講義では、本シリーズのテーマである宇宙が生物に与える影響について概説するとともに、線虫を用いた宇宙実験のさまざまな成果を紹介します。
