第3回「DNAから探る日本列島人の起源と成立」

講師:斎藤成也先生(国立遺伝学研究所 特任教授)

配信日時:2024年9月20日午後1時〜9月30日午後1時

 日本列島人の起源と成立については、大きくわけて、置換説、混血説、変形説があります。現在の定説は混血説の一種である二重構造モデルです。これは1991年に国際日本文化研究センターの埴原和郎が発表したものです。日本列島の北部に居住するアイヌ人と南部に居住するオキナワ人に共通性があることを、歯の形態データの分析から示しました。その後ヒトゲノム中に多数存在するSNP(単一塩基多型)のデータをDNAマイクロアレイ法という手法を用いておよそ50万カ所について決定したわれわれは、2012年にゲノムデータが二重構造モデルを支持することを示しました。
 また国立科学博物館の篠田謙一・神澤秀明らは、多数の縄文時代人、弥生時代人、古墳時代人の古代人ゲノムを決定し、これら古代の人々と現代人との関係を推定しました。
 本講演では、これらのほかに、私が2015年に提唱した「うちなる二重構造モデル」を紹介します。このモデルがあてはまることは、ヒトミトコンドリアDNAハプログループの47都道府県全体のデータや核DNAのSNPデータを分析して示されました。このほか、マウスのカスタネウス亜種がムスクルス亜種よりも前の3500年ほど前に日本列島に移動してきたことが、北海道大学理学部の鈴木仁らによって示されましたが、この結果も「うちなる二重構造モデル」を支持するものです。

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