第2回「がんを進化で読み解く」

講師:末永雄介先生

千葉県がんセンター研究所 進化腫瘍学研究室 室長

配信期間:2026年6月19日(金)13時 〜 6月29日(月)13時

 がんは、性質の異なる細胞が体の中で増えながら、体内の環境の影響を受けて変化していく病気です。酸素や栄養の状態、免疫のはたらき、長く続く炎症などが細胞に影響を与え、生き残りやすい細胞が広がります。さらに、薬による治療も細胞にとって大きな試練となり、それを乗り越えた細胞が増えることで、再発や薬が効きにくくなる状態、転移へとつながることがあります。こうしたしくみは、ダーウィンが示した、子孫に変化が受け継がれることで起こる進化の考え方とよく似ています。
 進化はふつう、遺伝子の変化が積み重なることで起こると考えられています。がんでも遺伝子の変化は重要ですが、それだけではありません。遺伝子が変わらなくても、その働き方が変わることがあります。また、細胞が状況に応じて性質を変えやすいことも、がんの始まりや進行に関わっています。
 さらに、マウスや霊長類とヒトのがんを比べる研究から、種ごとの違いや共通点も見えてきました。たとえば、ヒトで発達した脳に関わる遺伝子や細胞のしくみが、がんとどう結びついているのかといった点も注目されています。本講義では、こうした具体例を紹介しながら、進化の視点からがんの成り立ちと広がりをわかりやすく解説します。

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