第2回「DNAで海洋微生物を探る 〜環境DNA分析技術による赤潮の調査〜」

講師:長井敏先生

国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所 グループ長

配信期間:2025年12月19日(金)13時 〜 12月29日(月)13時

 2000年第以降に相次いで商品化された次世代型シーケンサー(生物の持つゲノム情報、塩基配列を読む器械)の登場により、生命科学とバイオ産業に大きな変革が起きている。次世代型と呼ばれるシーケンサーは、従来型シーケンサーの数万~数百万倍の性能を発揮する。このようなシーケンス革命の到来により、大量に得られるゲノム情報をフル活用した新しい技術によって、1リットルの海水中に何種類の生物がいるのかに対する解答が、それほど難しくなく得られるようになってきた。国内においては、最北端の流氷生態系、最南端のサンゴ礁生態系、瀬戸内海・九州における養殖魚場を中心とした沿岸生態系、水研機構が保有する5個のモニタリングラインを用いた沖合・深海生態系に出現する生物多様性の差異を理解するため、環境DNA解析と呼ばれる技術を用いて、細菌、動植物プランクトン、原生生物、海藻、魚・魚卵といった広範囲に及ぶ生物モニタリングを実践してきた。今回は、これまで日本で実施してきた環境DNA解析技術を用いた有害赤潮のモニタリングの成果を紹介させていただく。

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