かずさDNA研究所(長谷川嘉則グループ長、小原收副所長)は、千葉大学、量子科学技術研究開発機構と共同で、遺伝性脳小血管病「CADASIL(カダシル)」の新しい疾患モデルを世界で初めて確立しました。
CADASIL(カダシル)は、脳の細い血管が傷つき、若年期から脳梗塞や認知症を引き起こす深刻な病気で、国の指定難病の一つです。 原因はNOTCH3遺伝子の異常ですが、様々な遺伝子の変化があり、なぜ血管が悪くなって病気が進むのかは、はっきりとわかっていません。従来のマウスモデルでは、ヒトで見られる記憶障害や脳萎縮を十分に再現できないという課題がありました。そこで研究チームは、ヒトに近い血管構造や老化過程を持ち、生体で脳血管を観察できるゼブラフィッシュに着目し、病気を再現して、進行する仕組みを解明することを目指しました。
本研究によって作製されたゼブラフィッシュCADASILモデルを解析した結果、加齢に伴って脳の血流が減り、記憶力が低下し、脳が萎縮するといった、ヒトと共通する病気の経過をたどることが確認されました。また、脳では、血管を支える役割を持つ「IV型コラーゲン」とそれに関係する物質が減少していることがわかりました。さらに、このタイプは日本を含む東アジアに多く、脳出血を起こしやすい患者に共通する特徴であることが示されました。
この発見は、これまで根本的な治療法がなかった本疾患の新たな治療ターゲットの特定につながることが期待されます。
論文タイトル
Age-Dependent Vascular and Neurological Characteristics of CADASIL Are Recapitulated in Notch3 Mutant Zebrafish, Implicating a Role for Type IV Collagen in Disease Progression
著者
Tohgo Kanoh, Shiho Oubayashi, Kengo Furukawa, Kosuke Fujimoto, Amane Inoue, Takamasa Mizoguchi, Masashi Yamaguchi, Azusa Takahashi-Nakaguchi, Yoshinori Hasegawa, Osamu Ohara, Ichio Aoki, Motoyuki Itoh
掲載誌
Acta Neuropathologica Communications
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