テーマ 19DNA分子はねじれたはしごのような形をしています

James Watson Francis Crick Rosalind Franklin Maurice Wilkins ジェームズ・ワトソンフランシス・クリックは DNAの構造を解きました。ロザリンド・フランクリンモーリス・ウィルキンスなどの他の科学者も、この発見に貢献しました。

モーリス・ウィルキンス(1916-2004)


 モーリス・ヒュー・フレデリック・ウィルキンスは、ニュージーランドのポンガロアに生まれました。父親は医者で、自身の予防医学の興味を追求するために、ウィルキンスが6歳の時に、家族でイギリスに渡りました。人格形成期をニュージーランドで過ごしたことで、彼は初期の開拓者たちの探検や冒険心を植えつけられた、これは科学者としての彼のキャリアに有利に働いたと、ウィルキンスは信じています。

 1938年に、ウィルキンスはケンブリッジの セント・ジョン・カレッジを物理学の学士号を取って卒業しました。イギリスは当時戦争中でしたので、科学者、特に物理学者は引っ張りだこでした。ウィルキンスはジョン・ランドールと一緒に、バーミンガム大学でレーダーの改良の研究をしました。この研究で1940年に博士号を取得し、ウィルキンスの研究の一部はいまだに現在のレーダーに使われています。

 1943年に、ウィルキンスが属していたバーミンガム大学の物理学部は、マンハッタン計画に参加するために、カリフォルニア州立大学バークレー校に移りました。その頃、全ては戦争のための努力でした。しかし、広島と長崎に落とされた原子爆弾の壊滅的な威力を見て、ウィルキンスは核兵器に反対の立場を取り続けています。

 戦後、ウィルキンスは セント・アンドリュー大学の物理学の講師の職を得ました。ここで彼は、生物学の問題を物理学で解決したいと考えていたジョン・ランドール、現在はジョン卿と再会しました。ランドールはロンドン大学のキングズ・カレッジで正教授の地位を得て、そこで医学研究協会の生物物理研究ユニットの一員であったウィルキンスと、生物物理学研究室を立ち上げました。

 ウィルキンスはDNAやウイルスのような生体分子を様々な種類の顕微鏡や分光光度計で調べました。彼は、DNA分子の回折像を得るために、X線を使い始めました。彼やロザリンド・フランクリン、レイモンド・ゴスリングが生みだしたX線回折像が、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによるDNAの三次元らせん構造の予測を導きました。ウィルキンスは、ワトソンとクリックと共に、1962年のノーベル医学生理学賞を受賞しました。

 ウィルキンスは研究で1962年に大英帝国勲章を、また他に賞や賞金を手にしました。彼は彫刻を集めていて、庭作りが好きでした。

factoid Did you know ?

DNAが最初に結晶化されたのは、1970年代の後半でした。思い出してください。1953年のX線のデータはDNA繊維からのものでした。つまり、ワトソン・クリックのDNAモデルが本当に”証明”されたのは、1982 年、B型のDNAが結晶化されて、X線パターンが解明された後でした。

Hmmm...

ヒトのひとつの細胞のDNAを伸ばすと、6フィート[約1.8 m]近くの長さになり、そこには60億塩基対以上が含まれています。それだけのもの全てがひとつの細胞の核の中にどのように収まっているのでしょうか?