トマトのエキビョウキン抵抗性遺伝子のゲノム上での位置を特定しました。
2017/12/19
研究開発~エキビョウキンに強いトマト品種の開発に道~
公益財団法人かずさDNA研究所は、エジプトの研究グループと共同で、トマトのエキビョウキン抵抗性遺伝子の位置を特定し、DNAマーカー選抜育種に利用可能なDNAマーカーを開発しました。
エキビョウキン(Phytophthora infestans)は、1840年代にアイルランドでジャガイモ飢饉を引き起こした病原菌として知られています。現在でもエキビョウキンは世界中のジャガイモやトマトの生産に打撃を与えているため、エキビョウキンに抵抗性をもつ品種の開発が必要となっています。
エキビョウキンに抵抗性を示す性質はトマトの野生種に見つかっており、これを栽培トマトに導入できれば、エキビョウキンに抵抗性のあるトマト品種が開発できるようになります。
今回の研究では、先進的なゲノム解析技術(ddRAD-seq解析法 2016/03/04に紹介など)を利用して、非常に短期間で、エキビョウキンの抵抗性遺伝子のゲノム上の位置を特定することに成功しました。さらに、このエキビョウキン抵抗性遺伝子をトマトの育種に効率よく利用できるように、DNA分析によりエキビョウキン抵抗性遺伝子を選抜することができるDNAマーカーを開発しました。
研究成果は、2017年12月18日に国際科学雑誌PLOS ONE電子版に掲載されました。
論文情報:
Rapid identification of candidate genes for resistance to tomato late blight disease using next-generation sequencing technologies.
(次世代シークエンシング技術を用いたトマトエキビョウキンに対する耐性候補遺伝子の迅速な同定)
Ramadan A. Arafa1, Mohamed T. Rakha2, Nour Elden K. Soliman3, Olfat M. Moussa3, Said M. Kamel1, 白澤健太4
1 エジプト 農業研究センター植物病理学研究所
2 エジプト カフレシシク大学農学部
3 エジプト カイロ大学農学部
4 かずさDNA研究所 植物ゲノム・遺伝学研究室
<PLOS ONE誌のURL> http://journals.plos.org/plosone/
<論文のURL> https://doi.org/10.1371/journal.pone.0189951
かずさDNA研究所では、Ramadan A. Arafaさんを海外研究協力員として、2016年2月より受け入れています。この研究成果は2017年11月に台湾で開催された「Taiwan-Japan Plant Biology 2017(台湾-日本 植物生物学2017)」で「TJPB2017 Presentation Award(プレゼンテーション賞)」を受賞しました。