肝硬変に対する新規自己マクロファージ療法に関する研究開発
~肝移植を補完する新たな治療方法の提案~

2025/1/30

研究開発

かずさDNA研究所、北海道大学、株式会社メディネットは共同で、肝硬変の新たな治療法の可能性を示唆しました。

肥満やアルコールの過剰摂取などにより肝臓で炎症が起きると、その炎症を修復するときにできる「線維(コラーゲン)」というタンパク質が肝臓組織に沈着します。この状態が進行して重度の肝硬変になると、一般的には肝臓移植が治療法として選ばれます。しかし、臓器移植ドナーの不足や生涯にわたる免疫抑制剤の服用など、様々な問題点が残っていることから、新たな治療法の開発が求められていました。

本研究では、IL-34とIL-4というタンパク質(サイトカイン)を組み合わせて分化誘導したマクロファージ(免疫細胞)がどのような特徴を持つのかを確認した結果、このマクロファージでは、免疫を抑える分子の遺伝子の発現が亢進していたほか、線維タンパク質を分解する酵素や肝臓組織の修復に関わる遺伝子の発現が増加していることが分かりました。また、肝線維化したマウスへの治療効果を確認したところ、肝臓に沈着した線維の面積が明らかに減少していることなどが明らかとなりました。さらに、ヒト由来の細胞においても同様の性質を持つことが確認されました。

本研究の成果は、肝硬変治療の発展や自己細胞療法の開発に役立てられることが期待されます。

詳細は北海道大学のプレスリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:Amelioration of liver fibrosis with autologous macrophages induced by IL-34-based condition
著者: Yuichi Igarashi, Haruka Wada, Masato Muto, Ryohei Sone, Yoshinori Hasegawa and Ken‑ichiro Seino
掲載誌:Inflammation and Regeneration
DOI:10.1186/s41232-025-00364-7

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