かずさDNA研究所(遠藤 裕介 室長、菅野 敏生 研究員)は、最先端「マルチオミックス解析」によって、免疫細胞が脂質不足を乗り越える新たな仕組みを明らかにしました。
私たちの体を守る免疫細胞は、病原体と戦うために、細胞の中で使うエネルギーや材料を巧みに切り替えています。中でも脂質は、細胞膜をつくる材料であり、エネルギーの貯蔵庫でもあり、また細胞同士の情報伝達にも関わります。これまで私たちは、免疫応答の司令塔であるT細胞の脂質代謝を調節することで、アレルギーや自己免疫疾患の病態を抑えることを示してきました。しかし、脂質を自分で作る力が低下した時に、T細胞がどのように不足を補い、細胞活動を維持するかはよくわかっていませんでした。
そこで本研究では、タンパク質、遺伝子、脂質などをまとめて調べる「マルチオミックス解析」を行いました。その結果、T細胞は脂肪酸を作れなくなると、CD36やSLC27A4という受容体タンパク質を増やし、外から脂肪酸取り込んで不足を補うこと、さらに細胞膜の性質や細胞の成長・代謝を調節するmTOR経路も関わることが明らかになりました。その結果、免疫細胞が脂質不足を乗り越える新たな仕組みが見えてきました。
論文タイトル
Disruption of de novo fatty acid biosynthesis rewires cellular lipid metabolism toward mTOR-associated compensatory fatty acid uptake
著者
Takeru Endo, Toshio Kanno, Ryo Konno, Satoru Yokoyama, Keiko Nakano, Keisuke Miyako, Keisuke Yamamoto, Souta Yoshida, Arisa Ito, Takaharu Kimura, Hikari K. Asou, Kazuko Yamada, Toshiyuki Kobayashi, Yusuke Kawashima, Osamu Ohara and Yusuke Endo
掲載誌
Scientific Reports
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