細胞から分泌されるタンパク質の簡便な解析法の開発

2021/3/10

研究開発


 
 
研究で使う細胞の培養上清には、細胞から分泌された様々なタンパク質が含まれています。これらのタンパク質を解析することで、生体の機能を調べることができます。ところが、この培養上清には、細胞を育てるために必要な血清が多く含まれており、解析の邪魔をしてしまいます。

本研究では、血清中に大量に含まれているアルブミンを除去することで、培養液に分泌された細胞由来のタンパク質を簡便に解析する方法を確立しました。この方法を使うことで、細胞から分泌されたタンパク質を3,700種類以上同定することができました。

重要な生理活性をもつタンパク質や、病気の診断のためのバイオマーカーなどを発見するための新たなツールとなることが期待されます。

論文のタイトル:A Simple Method for In-Depth Proteome Analysis of Mammalian Cell Culture Conditioned Media Containing Fetal Bovine Serum.

雑誌名: International Journal of Molecular Sciences
著者: Ren Nakamura, Daisuke Nakajima, Hironori Sato, Yusuke Endo, Osamu Ohara and Yusuke Kawashima.
論文のDOI:10.3390/ijms22052565

【専門的なポイント】
・血清を含む培地を対象とした簡便なプロテオーム解析法を開発
・仔牛由来の血清(FBS)含有細胞培養上清のアルブミンを簡便に除去
・アルブミン除去処理したFBS由来タンパク質含有の細胞培養上清を濃縮
・液体クロマトグラフィー連結型質量分析計(LC-MS/MS)とデータ非依存型解析法(DIA)を組み合わせた解析により、FBS含有細胞培養上清から3, 700以上の細胞由来タンパク質を同定
・TNF(腫瘍壊死因子)で刺激したHeLa細胞の培養上清を解析した結果、4つのサイトカインを含む40種類を超えるタンパク質が新たに分泌されていることを確認

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