雌雄の産み分け(NL69)

ヒトを含む哺乳動物のほとんどの性別は性染色体で決まります。X染色体が2本(XX)だと雌、XとY染色体が1本ずつ(XY)だと雄になります。卵子はX染色体を1本もつのに対し、精子にはX染色体をもつX精子とY染色体をもつY精子があり、X精子が受精すれば雌(XX)、Y精子なら雄になります(XY)。X精子とY精子は同じ数がつくられ、これまで機能差はないと考えられてきました。

広島大学の研究グループは、マウスでの精子形成過程の後期にX染色体から発現し、精子になった後にもRNAが残っている遺伝子を492個見つけました。さらに、薬剤処理でX精子とY精子を分けることを考えて、細胞の表面にある「受容体」と呼ばれるタンパク質をつくる遺伝子18個のうち、 Tlr7遺伝子とTlr8遺伝子(病原体を感知して自然免疫を作用させるToll様受容体をコードする)に着目して研究を進めました。

これらのタンパク質は、X精子でのみ精子の頭部以外の部分に発現しています。そこで、試験管内でマウスの精子にこれらに結合する薬剤を加えたところ、半数の精子の動きが低下しました。そして、この動かなくなった精子を回収して体外受精をしたところ、約80%の割合で雌が誕生しました。

この技術は、ウシやブタでも応用可能であることが確認されています。もちろんヒトでも可能ですが、倫理的には避けた方がよいでしょうね。

 

Activation of Toll-like receptor 7/8 encoded by the X chromosome alters sperm motility and provides a novel simple technology for sexing sperm.
Umehara T. et.al.
PLOS Biology (2019)
DOI:10.1371/journal.pbio.3000398
広島大学プレスリリース
https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/52779

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