人工脳に意識はあるか?(NL74)

オルガノイドとは、様々な細胞に分化できる細胞(ES細胞やiPS細胞)を培養・分化させ、3次元的に自己組織化させたミニチュア臓器です。ヒトのオルガノイドは治療薬の探索をはじめ、様々な医学研究に使われています。また、臓器移植に代わる再生医療としても期待されています。

神経細胞からなるオルガノイドも高度化が進んでいます。2019年に出された論文では脳皮質オルガノイドが、胎児の脳波に近い電気信号を発生させたと報告され、やがて意識を持った脳オルガノイドが現れるかもしれないと議論が沸き起こっています。

意識を持ったヒトのオルガノイドの誕生という一線は越えさせないという倫理学者らの主張もあり、何らかのガイドラインの必要が叫ばれています。その一方で、そもそもオルガノイドに意識が生まれたと何をもって定義できるのか、という答えは出せず、ガイドライン作りは難航しそうです。

また人工知能を人の脳により近づけるための研究に、このオルガノイドを使うことも始まっています。人工知能と脳オルガノイドが、意識の定義も定まらないうちに思考し始める、そんな時代が近づいているのかもしれません。

 

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