カブトムシの角をつくる遺伝子(NL68)

夏休みに立派な角を持つカブトムシの採集に出かけた思い出がある方も多いかもしれません。カブトムシの雌雄ペアに卵を産ませて幼虫を育て、ワクワクしながら成虫になるのを待っている人もいることでしょう。このような経験からでしょうか、基礎生物学研究所を中心とした研究グループは、カブトムシのオスに立派な角ができるしくみを研究しています。

2018年10月には、幼虫で角のもととなる細胞の集まり(角原基)で働いている遺伝子を調べて、オスの角の形成に重要な役割を果たす11個の遺伝子を見つけています。これらの遺伝子の働きを人為的に抑えると、角の先端の枝分かれの形が変化したり、角が短くなったり、胸部の角がなくなったり、余分な小さな角ができたりしました。

今回、分子生物学実験で用いられている25ml容量のプラスチック試験管内で幼虫を飼育して、たくさんの幼虫を一度に経時的に撮影する方法を開発し、角の形成時期に「首振り行動」という特徴的な行動をすることを見出しました。そして、ショウジョウバエの性決定に関わるtransformer(トランスフォーマー)遺伝子に目をつけ、この時期にtransformer遺伝子を働かなくしたところ、角が生えないはずのメスに様々な大きさの角が生えるようになることを発見しました。

 

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