トリの大規模ゲノム解析(NL51)

トリは『空を飛ぶ』という制約のために、進化の上では遠い関係なのに、同じような環境に住んでいるなどの理由でよく似た形態になっている場合があります。そのため、トリの分類については⾧く議論されていました。

このたび、約20ヶ国の研究者の4年に渡る取り組みにより、鳥類全体から選んだ45種のゲノムを解読し、発表済の3種(キンカチョウ、シチメンチョウ、ニワトリ)を加えてゲノム比較を行い、鳥類の最新の系統樹が描き出されました。データ分析をして系統樹を作成するのに約3年かかったそうです。

その結果によると、トリの祖先種に近い特徴を多く残しているのは、ダチョウとニワトリで、ハトと近縁なのはフラミンゴ、ハヤブサはタカよりもインコやスズメに近いことなどが分かりました。また、アメリカアリゲーター、イリエワニ、ガビアルのワニ目3種との比較により、恐竜の仲間の多くが絶滅した6,600万年前(白亜紀末)に生き残った祖先種から、現在地球上にいるトリの種の約95%が誕生したことも分かりました。

他にも、トリの性決定のしくみを知る手がかりになるであろう性染色体の進化や、発声に関わる遺伝子群がヒトと共通する可能性など多くの研究結果が発表されています。

アメリカの恐竜学者の言うように、トリの進化の解析が進めば、ニワトリを恐竜に戻せるようになるのでしょうか?

Science 12 December 2014 Volume 346 Issue #6215

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