カロリー制限とサルの寿命(NL59)

ウィスコンシン大学とアメリカ国立老化研究所は 1980 年代後半にアカゲザルを用いて、摂取カロリーの制限と寿命についての研究を始めました。そして、前者は 2009 年と 2014 年にカロリー制限に寿命を伸ばす効果があるとする論文を、後者は 2012 年に効果がないという論文を発表し、異なる結果が論争になっていました。

このほど、両研究グループがお互いの実験についてサル集団の由来から食事の内容まで詳細に比較したところ、結論の違いは実験に用いたサルの年齢や性別などの差異から生じたものと判明しました。例えば、実験を始めた年齢が前者では 7-15 歳なのに対し、後者では 1-23 歳でした。また、エサも糖分の多い精製されたペレットと天然の穀物と違いがあり、後者のほうが全体に痩せていました。

そこで、両者の比較を容易にするために、年齢カテゴリに分類して比較したところ、人間では中高年にあたる 18 歳以上のサルでカロリーを制限すると、寿命を伸ばす効果があることがわかりました。特にオスの寿命の伸びは顕著だそうで、最高齢記録を更新中のサルもいるとのことです。また、がんや糖尿病などの加齢に伴う病気の発生率は、カロリー制限の開始年齢に関わらず、明らかに低下していました。

この結果がそのままヒトに当てはまるかどうかは不明ですが、やはり「腹八分目に医者要らず」なのでしょうか。

Caloric restriction improves health and survival of rhesus monkeys.
Mattison J, et. al.
Nature Comm. (2017)
DOI: 10.1038/ncomms14063

Facebook
X
SDGs