ダイコンの辛みをなくすには(NL59)

多くの実用作物もそのゲノムが解読されることにより、特徴のある品種を育成するスピードが加速しています。ここでは、ダイコンのゲノム解析の成果をもとにした新品種の育成例をご紹介します。

ダイコンを加工するとできる、たくあんの黄変や独特の匂いと大根おろしの辛みは「グルコラファサチン」という物質が分解されることによって発生します。長年の品種開発の過程で、グルコラファサチンを含まないダイコン品種が見つかっていましたが、原因となる遺伝子のゲノム上の位置を調べる方法がなく、育種には活かされていませんでした。

東北大学と農研機構の研究グループは、2014 年に当研究所と東北大学が発表したダイコンゲノムの情報をもとに、グルコラファサチンを含まないダイコン品種では、ダイコンの1番染色体にある GRS1 遺伝子に変異が生じたことにより、グルコラファサチンが合成されないことを突き止めました。

研究グループは、この変異をもつ植物体を同定するための DNA マーカーを開発し、交配により実用品種にこの変異を導入しました。これらの品種から作ったたくあんは白く、電子レンジで加熱しても臭いません。また、大根おろしも長期間、冷凍保存しても白いままで、辛みがなくフレッシュ感も残っているのだそうです。