ヒトノックアウト(NL60)

遺伝子の機能を調べる方法のひとつに、その遺伝子を人為的に壊して、正常な個体と比較するものがあります。もちろんヒトでは実験できないので、ヒトと 99% 同じ遺伝子を持つマウスが用いられていますが、近年のゲノム医学の進歩により、普通のヒトでもいくつかの遺伝子が壊れていることが分かってきました。つまり、よく似た遺伝子構成を持つ、血縁関係が近い者同士が結婚した場合には、変異をもつ遺伝子が両親から子へ受け継がれ、機能する遺伝子が失われている(ノックアウトされている)確率が高いことになります。

米国を中心とした研究グループは、パキスタンの心筋梗塞に関する研究の参加者約 1 万人(平均年齢 52 歳、男性:女性= 4:1、本人もしくは両親が血縁関係の近い婚姻の割合はそれぞれ約 4 割)の解析を行い、1,317 遺伝子で変異をもつ遺伝子をホモで持つ人(両親からもらった遺伝子の両方で変異をもつ)を見つけました。

これらの変異を BMI(肥満指数)や血液検査の値など 200 種ほどの形質と関連づけたところ、いくつかの興味深いデータが得られています。  研究グループでは、パキスタンの全人口の 0.1% にあたる 20 万人を調べると、約 9,000 の遺伝子で変異をホモで持つ人がみつかるだろうと予測しています。これらの情報は、様々な病気に関する理解につながると期待されています。