イントロンの存在意義(NL67)

 真核生物では、転写された直後のRNAはmRNA前駆体と呼ばれます。mRNA前駆体には不要な塩基配列(イントロン)があり、イントロンを除き、必要な部分(エキソン)をつなぎ合わせる「スプライシング」という過程を経てmRNAとなり、リボゾームでアミノ酸配列に翻訳されます。

 ヒトゲノムの中では、タンパク質をコードするエキソン領域が1.5%なのに対し、イントロン領域は25%もあります。一部のイントロンは、遺伝子の発現を制御したり、翻訳を制御する低分子RNA配列を含むものがありますが、そのほとんどの役割はよく分かっていません。

 なぜイントロンが必要なのかを明らかにするため、米国とカナダの研究グループは、それぞれ独自に、分子生物学でよく研究されている出芽酵母の遺伝子からイントロンを取り除いてみました。出芽酵母では、約6000個の遺伝子のうちの約300遺伝子にイントロンが存在しています。

 栄養が豊富な環境では、イントロンを除いた酵母は、イントロンがある酵母とほとんど差はありませんでした。しかしながら、低栄養の環境に移すとイントロンを除いた酵母では増殖が遅くなりました。その後も様々な実験を行い、イントロンがスプライシングや翻訳を抑制することで、エネルギーを節約していると結論づけました。

 同様のしくみがヒトなどに当てはまるかは不明ですが、不要と思われていたものに意外な役割があることに驚きました。