妊娠中の喫煙によるDNAの変化(NL54)

妊娠中の母親の喫煙は、生まれてくる子供の健康に悪影響をもたらします。出生体重の減少などのように、その影響がすぐに現れなくても、長期的には生まれてくる子供の肥満、2 型糖尿病、高血圧や神経行動学的な異常につながるとする報告があります。

スペインの研究チームは、妊娠中の喫煙が子宮内の胎児に影響するかどうかを調べるために、20 組の母親と新生児を対象に、へその緒の血液を使ってゲノム全体の DNA のメチル化(5-メチルシトシン)について解析しました。

結果、喫煙する母親としない母親から生まれた新生児の間に、25 個の遺伝子について DNA メチル化の、統計上有意な著しい違いがあり、喫煙をする母親から生まれた新生児において、その多くで DNA メチル化の頻度が高くなっていました。逆に、ゲノム全体のメチル化を比較すると、喫煙をするグループの方が著しく低くなっていました。

DNA のメチル化とは、DNA の塩基にメチル基と呼ばれる小さな分子(1 つの炭素と3つの水素原子からなる)が結合することですが、遺伝子の近傍がメチル化されると、その遺伝子の発現が低くなったり高くなったり変化して健康に影響する可能性があります。

DNA のメチル化のパターンは体の組織によって異なる可能性がありますが、研究が進めば疾患などを事前に見つける新たなバイオマーカーになるかもしれません。