犯行現場では蚊に注意!(NL60)

今年も「蚊(か)」の季節がやってきました。蚊はその体重(2-3㎎)とほぼ同じ量の血液を 1 回で吸うことができます。夏場の屋内の犯行現場で生きた蚊が見つかった場合に、その血液を使って DNA による個人の識別や何時間前に血を吸ったかを推定することができれば、嫌われ者の蚊も犯罪捜査の役に立つことでしょう。

名古屋大学を中心としたグループは、防虫剤メーカーの研究所で卵から飼育されたアカイエカとヒトスジシマカを使って一連の実験を行いました。対象となるヒトの血を吸った蚊は、設定された経過時間(0-72 時間)後に殺虫され、犯罪捜査でも使われているキットを使って、個人の判別に用いられている 16 ヶ所の DNA 配列を PCR 法で増幅しました。

すると、吸血 12 時間後までは 16 ヶ所のほぼすべてで DNA 型が判別できましたが、時間の経過とともに判別できる割合は減少していきました。48 時間後までの減少の割合から、半日単位で経過時間を推定することが可能なことも分かりました。

そして、72 時間後には、顕微鏡観察で蚊の腹部にあるほぼすべての血液が消化されているように見えることと同時に、PCR による DNA の増幅反応も見られなくなりました。

今後は、数時間単位で吸血後の時間が推定できるようにするなど精度を上げて、実際の犯罪現場で使える技術にしていきたいそうです。