キリンの首はなぜ長い?(NL56)

キリンの首がなぜ長いのかについては、進化を語る上でたびたび議論の対象となっています。一説には、高いところの葉を食べるのに有利だったからと言われていますが、結論はまだでていません。  解剖生理学的にみると、キリンの頚椎(首の骨)の数は他の哺乳類と同じく 7 つで、キリンの様に首を長くするには、ひとつひとつの頚椎を伸ばさなければなりません。それと同時に、脳に血液を送るための、他の哺乳類の 2 倍の血圧に耐える心血管系などを発達させる必要があります。

今回、タンザニアの研究機関を中心とした研究グループは、マサイキリンと、唯一の近縁種で首の短いオカピのゲノムを解析して、他の哺乳類のゲノムと比較することで、少なくとも 70 個の遺伝子がキリンの首の長さに関与していることを明らかにしました。

これらの遺伝子の多くは、胚発生時に胴体と四肢の形成に関与したり、細胞の増殖を制御する働きをしています。研究グループでは鍵となる遺伝子のひとつとして、骨格に変化をもたらすことが知られている FGFRL1 遺伝子に変異がみられたことを報告しています。

キリンはウシの仲間で、オカピとの共通祖先から、1150 万年前に分岐したとされています。ゲノムの詳細な解析は、進化の謎を解くことができるのでしょうか?

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