プラスチックを分解する細菌(NL56)

ペットボトルや衣類に用いられている PET(ポリエチレンテレフタラート)は石油から作られています。PET はこれまで自然界での微生物による分解は起きないとされていて、土壌や海水中に蓄積した PET は半永久的にそのまま残ると考えられていました。

2005 年頃から、分子生物学的な解析により、微生物由来の PET を分解できる酵素が報告されだしましたが、いずれも副次的なものと考えられていて、自然界で PET を分解しているとみなすことができる、つまり、PET を炭素源として生育できる微生物はみつかっていませんでした。そこで、京都工芸繊維大学らのグループは、PET ゴミが埋められている処分場などから土壌を採取し、PET 分解菌を探索しました。

採取地の大阪府堺市にちなんで “Ideonella sakaiensis” 201-F6 株と名付けられたこの菌は、ゲノム解析の結果、PET 加水分解酵素、MHET 加水分解酵素と名付けられた 2 種類の酵素を使って、PET をテレフタル酸とエチレングリコールに加水分解し、これらを炭素源として生育していることが分かりました。

残念ながらこの菌の生育は非常に遅く、親指の爪の大きさの PET 片を分解するのに約 6 週間かかるとのことですが、PET 分解に関わる遺伝子が同定されたことで、これらの酵素を利用した新しいリサイクル法の可能性がみえてきました。