363種のトリゲノムの比較(NL74)

化石の記録などによると、鳥類は1億5000万年から2億年前ごろのジュラ紀に誕生し、白亜紀末の大絶滅を生き残り、多くの種が誕生しました。世界中に生息する様々な種の進化を探るために、すべての鳥類のゲノムを解読するBird 10,000(B10K)プロジェクトが進行しています。

2004年にセキショクヤケイのゲノムが公開されたのを皮切りに、2014年には48種が、そして今回、鳥類の「科」の92.4%を網羅する363種のゲノムが公開されました。363種の中には、博物館の古い標本から採取されたサンプルもあります。それぞれのゲノムは「progressive cactus」というソフトウエアで比較され、系統的に並べられました。そして、いくつかの系統の中で保存されている遺伝子も見つかってきています。

例えば、さえずり上手で知られるスズメ目では、共通してCornulinという遺伝子が失われていることがわかりました。Cornulinはヒトでは、外部ストレスにさらされた口腔や咽頭で発現が見られることから、スズメ目では、この遺伝子が失われたことにより食道上皮の柔軟性が生まれ、声帯の代わりとなる「鳴管(めいかん)」という組織ができた可能性があることを示しています。

多くの種でゲノム解読が進行しているのとは対照的に、ゲノム情報を解釈するための形態的な研究や生態の観察は不十分なままだそうです。日本には100年以上の鳥類研究の歴史があります。我こそはと思う方は鳥類学者を目指してみませんか。

 

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