1000人ゲノム計画(NL54)

1000人ゲノム計画は、個人間の塩基配列の違いを調べるために2008年1月に始まった国際プロジェクトで、対象者は世界中の異なる26の民族グループから選ばれています。

2012年には第一弾として、1092人分のゲノムが報告されましたが、その後も次世代シーケンサーを活用し、計2504人分を解析しています。今回の解析で、新たに4000万ヶ所(累計 8000万ヶ所)の違いが見つかりました。個人同士では約500万ヶ所、塩基配列レベルでは約2000万塩基が違っているのだそうです。
ただし、違いのほとんどは極めて稀な変異で、特定の集団内で多くの人が共有するような変異はそれほど多くありません。アミノ酸レベルの変異は1万ヶ所以上あり、150-180ヶ所の変異では作られるタンパク質の長さが短くなっていました。
また、遺伝子発現を調節する領域の変異が50万前後あり、個人の特徴はタンパク質の構造変化もさることながら、その多くは遺伝子発現の小さな差の集まりで決まると考えられます。現在も、世界各国で10-100万人単位の個人ゲノムの解析がされており、今後は、形質や疾患とゲノム上の変異を関連づける解析が中心となっていくことになります。研究が進むと、病気の早期発見や予防につながると期待されています。

A global reference for human genetic variation.
The 1000 Genomes Project Consortium
Nature 526, 68–74 (2015)
doi:10.1038/nature15393

An integrated map of genetic variation from 1,092 human genomes.
The 1000 Genomes Project Consortium
Nature 491, 56–65 (2012)
doi:10.1038/nature11632
プロジェクトのwebsite

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