貝の巻き方は遺伝子が決める!?(NL68)

なぜカタツムリは右巻きになるのか?

1920年代に行われた交配実験から、母性効果(卵内に蓄えられた母親由来のタンパク質やメッセンジャーRNAの遺伝型)によって巻きの向きが決まること、おそらく単一の遺伝子の影響であることなどは分かっていましたが、原因となる遺伝子は見つかっていませんでした。

中部大学の研究グループは、自然界では98%が右巻きのヨーロッパモノアラガイを用いて研究を行ってきました。これまでの観察から、個体発生初期の卵割の向きに左右差がみられたことなどにより、細胞分裂の方向を決める基となる細胞骨格に関わる遺伝子のひとつLsdia1が左右の違いを決めるのではないかと予測しました。

そこで、右巻きのヨーロッパモノアラガイの受精卵で、Lsdia1遺伝子をゲノム編集技術を使って働かなくしたところ、その子孫は左巻きになりました。受精卵の中にLsdia1遺伝子のタンパク質がないと、卵割の向きが変わり、左巻きになるようです。

カタツムリは、上から見ると殻が時計回りに成長する「右巻き」がほとんどだそうですが、確認しようにも最近はカタツムリの姿を見かけることも少なくなりましたね。

 


 
The development of CRISPR for a mollusc establishes the formin Lsdia1 as the long-sought gene for snail dextral/sinistral coiling
Abe M, and Kuroda R.
Development (2019)
DOI:10.1242/dev.175976

Facebook
X
SDGs