メバル類の長生き遺伝子(NL78)

冬から春に旬を迎え、釣り人にも人気の高いメバルは、北太平洋を中心に様々な種類がいます。房総沖でもまれに水揚げされるメヌケの仲間など、深海に棲む種や、寿命が200年以上という種もいるそうです。

米国の研究グループは、長寿に関わる遺伝子を探る目的で、メバル科に属する88種の魚のゲノムを解読し、系統関係を明らかにしました。88種の中には、寿命が11年の種から200年の種があり、系統関係と長寿に相関は見られたものの、近縁種でも寿命の長さが異なったり、独自に長寿を獲得したと考えられる種があったことから、長生き遺伝子は系統で保存されている遺伝子ではないことが予想されたため、別の方法で検討しました。

寿命が100年以上の種と20年以下の種に分けて、長寿とともに選択されてきた遺伝子を抽出したところ、800種類近く見つかり、それぞれの種で独自に長寿をもたらす遺伝子変化が起こっていると推測されました。変化が見られた遺伝子には、“DNAの修復に関わる遺伝子”や、“テロメアの長さに関わる遺伝子”、“代謝や炎症に関わる遺伝子”などがありました。中でも、免疫にかかわるブチロフィリン遺伝子ファミリーで遺伝子のコピー数と寿命に相関関係が見られたことは、魚でも長寿と免疫に関連があることを示しています。

 

Origins and evolution of extreme life span in Pacific Ocean rockfishes
Kolora SRR, et.al,
Science(2021)

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