開花のタイミングを決める遺伝子(NL46)

植物は光の強さ、周期、波長から環境要因を判断して花芽をつけるタイミングを決めています。
モデル植物として研究に用いられているシロイヌナズナ(アブラナ科)は長日植物で、昼間の時間が長くなる(実際には暗い時間が短いことの方が重要)と「とう(薹)立ち(花を咲かせる茎が伸びること)」して花芽をつけるようになります。

では、植物は昼間の長さをどのようにして計っているのでしょうか? 実は植物にも私たちと同じように体内時計のしくみがあり、その時間情報と光の有無から日長の変化を感知しています。光を感じる反応は葉の部分で起こり、葉で作られた花芽の形成を誘導する花成ホルモン(フロリゲン)が茎の頂部に移動して,花芽をつけるよう促進するのです。

これまでの研究で、赤色光は花芽形成を抑制し、青色光は花芽形成を促進すること、そして、青色光によるフロリゲン遺伝子の発現制御のしくみの一部が分かっていました。

今回、京都大学のグループは赤色光の受容体に直接作用する遺伝子を探しました。この遺伝子を人為的に働かなくすると、本来ならば花が咲く時期になってもとう立ちが見られませんでした。
花芽の形成を抑えるしくみを応用することで、葉菜類や根菜類のとう立ちを遅くして、収穫期間をのばすことができるかもしれません。

京都大学プレスリリース
M Endo M et al.
PHYTOCHROME-DEPENDENT LATE-FLOWERING accelerates flowering through physical interactions with phytochrome B and CONSTANS.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2013 Oct 29;110(44):18017-22.
DOI: 10.1073/pnas.1310631110. Epub 2013 Oct 14.

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