金魚のゲノム解読(NL69)

金魚すくいでおなじみのキンギョは、今から約2000年前の中国で野生のフナの中にいた赤色の個体がもとになっているのだそうです。日本には室町時代に伝わり、江戸から明治の頃には庶民の間にも愛玩動物として広まりました。キンギョには眼球が飛び出たデメキン、尾びれの⾧いリュウキンなど、色や形態の異なる多くの品種があります。

これらの違いをもたらす原因となる遺伝子を解析することは、ヒトを含む脊椎動物の体づくりのしくみの理解や、様々なキンギョ品種の維持管理、新しい品種の育成にもつながります。今回、大阪大学の研究グループはキンギョ品種ワキン(和金)を用いてゲノム解読を行い、1400-1600万年前にフナの祖先種で、遺伝子の数が2倍になる全ゲノム重複が起こっていたことを示しました。
重複した遺伝子の一部(12%)は進化の過程で失われたものの、残りの一部の遺伝子が別の機能をもつ遺伝子に変化することができた ため、キンギョが多様な形態をもてるようになったと考えられています。

キンギョのゲノムの特徴
染色体数:2n = 100
ゲノムサイズ:約18億塩基対
遺伝子数:70,324個

De Novo assembly of the goldfish (Carassius auratus) genome and the evolution of genes afterwhole genome duplication.
Chen Z. et.al.
Science Advances (2019)
DOI:10.1126/sciadv.aav0547

大阪大学プレスリリース

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