朝型生活を好む遺伝子(NL55)
日本では2014年から、YahooやDeNAなどが個人向けの遺伝子解析サービスを始めて話題になっていますが、アメリカでは2006年に23andMeが同様のサービスを開始していて、欧米を中心に85万人以上が利用しているのだそうです(日本は対象地域外)。また、23andMeは遺伝情報の共有に同意した顧客に対して継続的にさまざまなアンケートを実施し、研究者と共に体質や病気と遺伝子との関係を明らかにしようとしています。
今回、欧州系の89,283人に対して、自己申告で朝型人間か夜型人間かを尋ねるほか、睡眠の質やアルコール/カフェイン摂取習慣、身長/体重などを問うアンケートをオンラインで実施し、ゲノムにある約800万ヶ所の遺伝的変異との相関解析(ゲノムワイド関連解析)を行いました。
その結果、生活リズムの好みに関連する遺伝的変異が15ヶ所同定され、そのうちの7ヶ所が、体内時計を制御する7つの遺伝子の近くにあることが分かりました。体内のリズムが朝型になるかどうかが、遺伝的に決まっている可能性が確かめられたのです。また、アンケートからは、女性の方が、そして若者より年配の方のほうが朝型傾向にあることも分かりました。朝型傾向には、遺伝的なもの以外に、生活習慣や年齢的なものも強く関係しているのかもしれません。
GWAS of 89,283 individuals identifies genetic variants associated with self-reporting of being a morning person.
Hu Y. et al.
Nature Communications 7 (2016)
doi:10.1038/ncomms10448