最も研究された遺伝子は?(NL62)

最も研究されている遺伝子は何か?
米国のソフトウエアエンジニアが、世界の主要医学系雑誌等の約5,000誌に掲載された文献のほとんど(約2,700万の論文)を検索することができるPubMedで、遺伝子の記述回数を調べました。

1 TP53 がん抑制遺伝子のひとつで、がんの半数で変異が見られる
2 TNF 腫瘍壊死因子:がんや炎症性疾患に対する薬のターゲットのひとつ
3 EGFR 上皮成長因子受容体:薬剤耐性がんでは変異していることが多い
4 VEGFA 血管内皮細胞増殖因子:血管の成長を誘導する
5 APOE アポリポ蛋白E:コレステロールとリポタンパク質の代謝に重要な役割をする
6 IL6 インターロイキン6:免疫系で重要な働きをする
7 TGFB1 形質転換増殖因子ベータ1:細胞の増殖と分化をコントロールする
8 MTHFR メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素:アミノ酸の代謝に関わる
9 ESR1 エストロゲンレセプター:乳がんなど女性特有がんとの関係が注目されている
10 AKT1 セリンスレオニンキナーゼのひとつ:他のタンパク質を活性化する

TP53遺伝子の発見は1979年ですが、その多彩な機能から、2002年以降トップの座を守り続けています。この3年の間にも、機能に関する論文が1日当たり2報の割合で新規登録されています。
ヒトゲノムにある、約2万の遺伝子のうちの約100の遺伝子に関する論文が1/4以上を占める一方 で、ほとんど研究されていない遺伝子もあります。
PubMedの記録によると、1985年以前にはヘモグロビンに関する論文が多く、1985-96年頃は免疫 に関わるCD4遺伝子の論文が多かったようです。
次に最も話題になる遺伝子は、何でしょうか。

PubMed; https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/

The most popular genes in the human genome.
Nature (2017)
DOI: 10.1038/d41586-017-07291-9

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