全ゲノムの3次元構造を解明(NL68)
ヒトの細胞1個の大きさは、種類によって違いますが、およそ0.01mm~0.05mmです。
その中に細胞核があり、約2mの長さのDNAが折りたたまれて入っています。2メートルの長さのものをうまく収納するために、DNAはヒストンと呼ばれるタンパク質に巻きついています。DNAがヒストンに巻き付いている部分をヌクレオソームといい、ヌクレオソーム同士が集まって糸状になったものをクロマチン繊維といいます。
細胞分裂期には、ヌクレオソームは更に凝集して棒状の「染色体」になります。その他の時期(間期)には、クロマチン繊維が緩み、DNA複製や遺伝子の転写が起こるのですが、この時期の核内構造はよく分かっていませんでした。
理化学研究所を中心とした研究グループは、染色体立体配座捕捉法(Hi-C法)と呼ばれるゲノム構造の解析法を改良し、ヌクレオソーム単位の分解能で染色体のほどけ具合を観察できるようにしました。この方法で、出芽酵母の16本の染色体を解析したところ、各ヌクレオソームは教科書に描かれているように規則的ではなく、遺伝子単位でひと固まりになっていることが分かりました。そして、ヌクレオソームが不規則に並びながら、約20~30nmの不均一な太さのファイバーを形成していることが分かりました。
Sub-nucleosomal genome structure reveals distinct nucleosome folding motifs,
Ohno M. et.al.
Cell, (2019)
DOI:10.1016/j.cell.2018.12.014
理化学研究所プレスリリース