他人の空似のゲノム比較(NL81)

ゲノム情報をもとに、ヒトの顔かたちを予測する「ゲノム・モンタージュ」技術の開発が進められています。もし本当にそのようなことができるのであれば、逆に世の中に3人はいるとされる自分に似た人は、自分と似たゲノム配列を持っているのでしょうか。
スペインの研究グループは、世界中のそっくりさんの写真を収集しているカナダ人アーティストのコレクションから32組を選びました。そのうち、顔の類似性を判定する3種類のアルゴリズムで(他人でありながら)一卵性双生児に近いとされた16組について、一塩基多型(SNP)を比較しました。
すると、うち9組は血縁関係はないものの、遺伝的にかなりよく似ていることがわかりました。そして、SNPが共通している遺伝子には、顔形成に関わるとされている遺伝子1,794種類が含まれていました。遺伝子のオン/オフに関わるDNAのメチル化や腸内細菌の種類についての相関は見られなかったものの、似ていると判定された人どうしの年齢が近いこともわかりました。
また、生活習慣に関するアンケート調査からは、顔が似ている人は身長や体重などの身体的特徴だけでなく、喫煙や教育などの行動も似ていることも明らかになりました。類似度が白黒写真からの判定であること、人種に偏りがあることなど、不確定要素が多い研究結果ではありますが、自分に似た人のことを想像すると、ミステリアスな感じがしますね。

Look-alike humans identified by facial recognition algorithms show genetic similarities.
Ricky S. Joshi, et.al,
Cell Reports (2022)

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