ポリネシアと南米の交流(NL73)
サツマイモは南米原産の植物ですが、そこから4000㎞も離れたポリネシアの島々でも古くからサツマイモが栽培されています。このサツマイモの伝播が人的なものか否かについては、長く論争が続いてきました。
今回メキシコのグループは、ポリネシアの17の島々と、メキシコからチリまでの太平洋沿岸部に住むアメリカ先住民15グループの計807人のDNA配列を解析し、ヨーロッパ人の入植以前に人的交流があったかどうかを調べました。その結果、1230年頃までにツアモス諸島でポリネシアの人々と現在のコロンビア付近の先住民と近縁な人々との間で接触があったことが確認されました。
これまでの説では、より東側にあるラパ・ヌイ(イースター島)との接触が最初と考えられていましたが、今回の結果からはより後の時代(1380年頃まで)であることが示されています。この研究では、南米の人がポリネシアに渡ったのか、あるいは逆に、ポリネシア人が南米に渡ったのかという疑問は残されたままですが、今後の解析により交流史が明らかになるかもしれません。
1947年にペルーを出発し、101日後に8000㎞離れたポリネシアの島々に辿り着いたノルウェー人探検家の話は『コンチキ号漂流記』で有名ですが、同様の冒険を800年前に行った人々がいることを思うと胸が熱くなります。
ポリネシア人ゲノムにアメリカ先住民との交流の証拠
Callaway E, et.al.
Nature ダイジェスト (2020)
DOI:10.1038/d41586-020-02055-4