ホタルのゲノム(NL66)

ホタルの発光はルシフェラーゼと呼ばれる酵素がルシフェリンという物質と反応して起こります。ルシフェリンをコードする遺伝子は、1985年にクローニングされ、遺伝子の発現を調べるための実験などに用いられてきました。

基礎生物学研究所を含むグループは、ヘイケボタルとアメリカ産ホタルのゲノムを解析し、ルシフェラーゼ遺伝子が、ヒトも持っているアシル CoA合成酵素の遺伝子が突然変異により変化してできたものであることを明らかにしました。両種の共通祖先種は『遺伝子重複』により、アシルCoA合成遺伝子を4コピーもつようになりました。もし重複した遺伝子のひとつに突然変異が起こっても、正常に機能する遺伝子がひとつでもあれば生物の生存には支障がないため、新しい機能を持つ遺伝子が誕生しやすくなります。
一方で、酵素の基質となるルシフェリンがどのような代謝経路で合成されるのかはまだよく分かっていませんが、今後の解析で明らかになることでしょう。
日米2種の分岐は1億500万年前頃に起こったと推定されています。きっと大型恐竜たちもホタルの光を見たことでしょう。

ヘイケボタルのゲノムの特徴
染色体数:2n = 16
ゲノムサイズ:約9億塩基対
遺伝子数:15,773個

Firefly genomes illuminate parallel origins of bioluminescence in beetles.
Fallon TR. et.al.
Elife(2018)
Doi: 10.7554/eLife.36495

基礎生物学研究所プレスリリースホタルのゲノム解読に成功〜ホタルの光の遺伝子の進化が明らかに〜

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