ヒトの遺伝子数(NL64)

2003年4月14日にヒトゲノム完成版が公開されてから15年が経ちましたが、我々ヒトがいったい何個の遺伝子を持つのかについての議論はいまだに続いています。1990年にヒトゲノムプロジェクトが開始した当時は、タンパク質をコードする遺伝子はおよそ10万と予想されていましたが、解析が進むにつれて、タンパク質に翻訳されない(=非コード)遺伝子があることなどが分かってきています。

解析データの情報は公的なデータベースに集約されています。研究者がそれぞれの遺伝子について証拠を確認し最終的な判断を行っている、欧州バイオインフォマティクス研究所(EBI)のGENCODEプロジェクトでは、19,901個のタンパク質コード遺伝子と15,779個の非コード遺伝子が、また、米国国立生物工学情報センター(NCBI)が運営するデータベースであるRefSeqには、20,203個のタンパク質コード遺伝子と17,871個の非コード遺伝子が掲載されています。

今回、30以上の組織で発現しているRNAの配列を調べたGTExプロジェクトのデータを使用したチームが、コンピュータプログラミングのみに依 存した解析により「21,306個のタンパク質コード遺伝子と21,856個の非コード遺伝子」があると報告し、総遺伝子数の議論に一石を投じました。今後はこの結果をきちんと検証するとともに、「遺伝子」を定義しなおす必要があるとしています。

New human gene tally reignites debate.
C Willyard
Nature 558, 354-355 (2018)
doi: 10.1038/d41586-018-05462-w

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