タコゲノムの不思議(NL55)
SFの世界ではタコのような火星人がいましたが、日米の研究グループは、この世のものとも思えぬ奇妙な外観をもつタコのゲノムから、他の動物とは異なる特徴を見つけました。
最も賢い無脊椎動物と呼ばれるタコの神経細胞の多くは、8本の長い触腕にあり、数百もの吸盤には触覚や化学的知覚の機能があるそうです。神経ネットワークの形成と維持に重要なプロトカドヘリン遺伝子の数は、ヒトの2倍以上の168個もありました。
タコは他の軟体動物とは異なり、特殊な形態をしています。多くの動物では胚発生に重要なHOX遺伝子が重複してゲノム上に複数並んでいるのに対して、タコには1つずつのHOX遺伝子がバラバラに存在していました。
タコが他の地球上の動物と似ていないことから、エイリアンと呼ばれることもあり、著者のひとりであるシカゴ大ラグズデール博士は、「この論文はエイリアンのゲノム解読と言えるかもしれない」と述べたそうです。
The octopus genome and the evolution of cephalopod neural and morphological novelties.
Albertin CB. et al.
Nature 524, 220–224 (2015)
doi:10.1038/nature14668