ウンシュウミカンのゲノム(NL63)

身近な果物のひとつであるミカン(ウンシュウミカン)はレモンなどと同じ柑橘(かんきつ)類 です。「温州」という中国の地名がついていますが、実のところ400-500年前に九州地方で見いだされたものだそうです。
農研機構などのグループは、ウンシュウミカンはキシュウ(紀州)ミカンとクネンボ(九年母)の交雑種であることをDNA 解析で示し、2016年に報告しています。農研機構では、柑橘類のさらなる消費拡大をめざして新しい品種の作出を行っています。しかしながら、果樹は育種に時間がかかるため、迅速化にはゲノムの情報が必須です。
そこで、ウンシュウミカンの早生品種のひとつ「宮川早生」のゲノムを解析し、ミカンの色素合成に関わる遺伝子など農業上重要な遺伝子を複数見つけました。
同時期に欧米のグループは、60種類の柑橘類のDNA解析を行い、祖先種からマンダリン、シトロ ン、ブンタンなど特徴の異なる10種類の祖先種に分かれ、それらの交雑からレモンやグレープフルーツなどが生じたことを明らかにしています。
これらの研究成果は、柑橘類の育種に活かされることになります。
みなさんはどのようなミカンがあったらいいと思いますか?

ウンシュウミカン品種「宮川早生」のゲノムの特徴
染色体数:2n = 18
ゲノムサイズ:約3億6000万塩基対

Hybrid Origins of Citrus Varieties Inferred from DNA Marker Analysis of Nuclear and Organelle Genomes.
T Shimizu et. al.
PLOS One (2016)
doi: 10.1371/journal.pone.0166969

Genomic analyses of primitive, wild and cultivated citrus provide insights into asexual reproduction.
X Wang et. al.
Nature Genetics 49, 765–772. (2017)
doi: 10.1038/ng.3839

Draft sequencing of the heterozygous diploid genome of Satsuma (Citrus unshiu Marc.) using a hybrid assembly approach.
T Shimizu et. al.
Frontiers in Genetics. 8:180, (2017)
doi: 10.3389/fgene.2017.00180

農研機構プレスリリース

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