イヌとネコの家畜化(NL50)
中国を中心とした研究グループによると、イヌが家畜化されたのはこれまでに推定されていた約15,000-16,000年前より更に前の約32,000年前で、場所は中東ではなく東南アジア、とのことです。
彼らはタイリクオオカミと中国の土着のイヌ、大型犬のゲノムを解析して、中国南部のイヌがもっとも原始的な形態のイヌである可能性を示しました。
その上で、食習慣や行動に関する遺伝子やいくつかの病気に関する遺伝子が、ヒトとイヌで同じような変化をしていることを明らかにしました。
このことから、両者が比較的長い間、同じような環境で生活を共にしてきたことが推測できます。
一方で、イエネコは約9,500年前に中東で農業を開始したヒトと、砂漠で暮らしていたヤマネコが出会ったことから誕生したと考えられています。
穀物倉庫に集まるネズミなどを狙って人間の村に引き寄せられたようです。
米国のグループが、22種のイエネコとリビアヤマネコやヨーロッパヤマネコのゲノムを解析したところ、食生活を大きく変化させる脂肪代謝に関する遺伝子や、性格に関係する遺伝子、身体の大きさに 関わる遺伝子など280の遺伝子が変化していることが明らかになりました。
そのうちにトラやライオンもペットにできるのでしょうか?
GD Wang et al.
The genomics of selection in dogs and the parallel evolution between dogs and humans.
Nat Commun. 2013;4:1860.
DOI: 10.1038/ncomms2814.
MJ Montague et al.
Comparative analysis of the domestic cat genome reveals genetic signatures underlying felinebiology and domestication.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Dec 2;111(48):17230-17235. Epub 2014 Nov 10.