わずか2世代で新種誕生?(NL62)
ガラパゴス諸島には、ダーウィンに進化論の着想を与えたとして、“ダーウィン”フィンチと名付けられた一群の鳥がいます。現在でも鳥類学者によって観察が続けられており、自然選択や種分化についての研究が盛んに行われています。
英国のグラント夫妻の研究グループは、1973年から大ダフネ島を毎年訪れています。1981年に夫妻は、島固有の3種類のフィンチとは違う鳴き方をするフィンチを見つけました。そこで、血液サンプルを採取してDNAを調べたところ、100㎞以上離れたエスパニョラ島にいるオオサボテンフィンチと在来のガラパゴスフィンチの交雑種であることが分かりました。ビックバードと名付けられたこの系統は、在来種より体が大きく、鳴き声や行動も異なり、他のフィンチとはもはや交雑できず、別の種が形成されたとみなすことができます。2002-2003年に発生した干ばつでは、ビックバードは兄と妹の2羽になってしまいましたが、その2羽が同系交配を行うことにより、2012年には23羽に増えたそうです。
このことは、雑種形成による、ある種から別の種への遺伝子の流動により、短期間に種の形成が起こりうることを示しています。ゲノム解析が容易になったことで、進化についても多くのことが分かってくると期待されます。
Rapid hybrid speciation in Darwin’s finches.
Lamichhaney S, et. al.
Science (2017)
DOI: 10.1126/science.aao4593