「3人の親」をもつ子供(NL51)
ミトコンドリア病の予防を目的に、3人の遺伝子を組み合わせた体外受精技術の実施を認める法案が、イギリス上院を通過しました。
私たちは、細胞の核内にあるゲノムDNAの他に、細胞質にあるミトコンドリアにもDNAを持っています。ミトコンドリアDNAは、母親由来のものだけが子供に引き継がれるので、そのDNAに異常がある母親から生まれた子供は、心臓や脳、骨格筋に異常が生じるミトコンドリア病を発症する可能性があります。
今回の治療法は、母親の卵子から採取した核DNAを、核DNAを除去したドナー女性の卵子に移植した後に体外受精させるものです。
結果として子供は、父と母の核DNAとドナー女性の健康なミトコンドリアDNAを受け継ぎ、「3人の親」を持つことになります。
倫理や安全性を慎重にということで議論が重ねられています。
この技術の普及はミトコンドリア病を抱えた女性に希望を与える、という意見のほか、理想の赤ちゃんを作るために遺伝子を操作する「デザイナーベビー」の風潮が広まるのではとの懸念もあります。