キクタニギクのゲノム解読 (NL67)
キク科に属する植物種は被子植物の約10%を占める最も繁栄しているグループのひとつです。また、栽培ギクは日本では切花生産の約40%を占めており、バラやカーネーションと並ぶ重要な花き品目となっています。
キク属の遺伝学的研究がこれまで進んでいなかった理由としては、栽培ギクが多くの野生ギクの交雑の結果、倍数化など複雑なゲノム構造になったこと、自家不和合性を持つことなどが挙げられます。
今回解析したキクタニギクは東北から九州にかけて自生しており、10~11月に黄色い花をつけます。広島大学では、同一個体の花粉で種子を作ることができる(自殖性)個体を発見し、ゲノム配列の構造がより同質化された系統を作りました。この系統を用いることで、ヒトとほぼ同じ大きさのゲノムを持つキクのゲノムが解析しやすくなりました。
これらの情報により、キク属の開花制御などの研究が進み、栽培ギクの品種改良の加速化につながると期待されています。
キクタニギクのゲノムの特徴
染色体数:2n = 18
ゲノムサイズ:約27億2000万塩基対(解読部分)
遺伝子数:71,057個
農研機構、東京大学、広島大学および日本大学との共同研究