ぜんそくにおける新たなブレーキ経路の発見(NL66)

 花粉症やぜんそく、アトピー性⽪膚炎などのアレルギー疾患にかかっている人は増加の一方で、今や日本人の3人にひとりが罹患しているとの報告もあります。アレルギー疾患は免疫系が関わる病気なので、免疫の仕組みを理解すれば治療法が見つかる可能性があります。
 
 これまでの研究から、IL-5という炎症性タンパク質を多量に産⽣する病原性Th2細胞が、アレルギー反応を引き起こす原因細胞であることが分かってきました。また、2型⾃然リンパ球という機能や特徴がよく似ていて、⾮常に強いアレルギー誘導能をもつ細胞が発見されています。前者は抗原(アレルゲン)に反応してアレルギー反応を引き起こすのに対して、後者は条件がそろえば、抗原がなくてもアレルギー反応が起こります。

 そこで、病原性Th2細胞と2型⾃然リンパ球の違いを解析したところ、DUSP10という脱リン酸化酵素が病原性Th2細胞でのみ多く発現していることが分かりました。その後の様々な解析により、DUSP10がアレルギー反応を抑える働きをもつことを明らかにしました。

 DUSP10を創薬のターゲットとした新たな薬の開発が期待できます。

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