DNA情報から品種改良を予測(NL55)

実用作物のゲノム解読も進み、多くの作物で、DNA マーカーを利用した育種ができるようになっています。この手法は、ある品種に耐病性などの有用な遺伝子を入れる場合には有効です。一方で、収量や味、色など、多くの遺伝子と栽培条件の影響を受ける形質には適用しにくいという問題も出てきています。

次世代シーケンサーの普及により、多数の個体のゲノム全体にある多くの DNA 配列の違いを一度に解析できるようになってきました。そこで、実際にトマトの実用品種を解析して、育種に応用する方法を検討しました。

日本で育成された 96 系統のトマトを、甘さや収量の情報を収集するために同一環境で栽培し、それぞれの DNA 情報と合わせてコンピューター上で統計的な解析をすることにより、DNA 情報と甘さや収量などの形質を相関づけました。この情報をもとに、多くの交配をシミュレーションすることで、目的の形質を持つ品種の作出方法の検討が可能になりました。例えば、これまでは甘くて収量の多いトマト品種の作出は不可能とされていたのですが、シミュレーションでは、甘くて収量の多い品種を育成できることが予測されました。現在、実証試験が行われ、この方法が品種育成の効率化に広く貢献できると期待されています。

かずさ DNA 研究所と農研機構、東京大学との共同研究