原発性免疫不全症の原因遺伝子を同定(NL57)
原発性免疫不全症とは、先天的な要因により生まれながらに免疫系が正常に働かない状態を指します。適切な治療がされないと、生活に支障をきたす障害が残ったり、生命に関わる重い感染症にかかることもあります。
この免疫不全症の原因となる遺伝子は300種類以上知られていますが、いまだに原因遺伝子が同定できずに診断のつかない方もいるそうです。研究チームは、原発性免疫不全症データベースに登録された症例の中から、活性化PI3K-d症候群に似た臨床症状の症例を2例見出し、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析(全エクソーム解析)を行った結果、PTENと呼ばれる遺伝子に変異を見出し、新たな原因遺伝子として同定することができました。
この研究成果は、これまでに原因を診断できなかった免疫不全症の患者の方にとって、新たな診断の手がかりとなる可能性があるとともに、患者の方への適切な治療法の選択や、新規治療法の開発にもつながることが期待できます。 かずさDNA研究所と防衛医科大学校、東京医科歯科大学、広島大学、岐阜大学、京都大学、名古屋大学や東京大学との共同研究