老化時計リバイバル機構の解明 -老化研究における新たなパラダイムシフト- 文部科学省 学術変革領域研究(B)

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領域概要

 細胞・組織・臓器の各階層において、細胞老化や線維化、再生能低下といった不可逆的な変化により機能不全が生じた結果、老化が進行します。老化は当初、加齢に伴うDNA変異の蓄積やゲノム不安定の増大に起因する遺伝情報の喪失によって引き起こされると考えられてきました。 しかし、体細胞核移植によって健康で正常な寿命を持つ個体が生み出されることや、体細胞から人工多能性幹細胞への初期化等の最近の知見から、DNAの塩基配列を変えることなく、遺伝子のはたらきを決める仕組みの設計図である『エピゲノム情報』が老化をより強く規定する要因であることが示唆されました。エピゲノムにより老化が規定されるというこれらの知見は、条件さえ整えば、老化時計を逆向きに巻き戻すこと(リバイバル)ができる可能性を示しています。

 そこで、本研究領域においては、多様な研究背景や技術をもつ研究者それぞれの研究成果・知識の共有や有機的連携を強化する総括班・領域の適切な運営を支える評価と助言を行う領域アドバイザーの協力のもと、老化の成因である細胞老化(研究項目A01「細胞老化のリバイバル」)や線維化を含む病態形成(A02「組織線維化のリバイバル」)、さらには組織再生能の低下(研究項目A03「組織再生能低下のリバイバル」)などの不可逆的生命プロセスの機構について、分子レベル、細胞レベル、組織レベルの各階層における若返りメカニズムを多元的に解析・統合化(A04「リバイバルのマルチオミクス解析とデータ統合」)することで、リバイバル研究という新たな学問分野の創生を目指します。