生命科学講座第2シリーズ第1回(補足3)

ヒトゲノムプロジェクト


ヒト・ゲノム計画パンフレット表紙(1992)

 ヒト・ゲノム解析研究によって生産され、蓄積される情報は、21世紀のバイオサイエンスの基盤としてあらゆる生命科学の研究に大きな影響をもたらすでしょう。特に医学と薬学領域には画期的な研究の変革がもたらされることが予見されます。4,000 を越える遺伝病、10万に達する遺伝子、人類出現以前から受け継がれてきた遺伝子系の基本構造。これらの全体像を取り込んだデータベースとその情報を駆使する新しい情報科学としての生物学が姿を見せてくるのです。ゲノム解析から得られる多様な遺伝情報が書き込まれたソースプックは、出来上がるのを待つまでもなく時々刻々新しい科学技術の発展の原動力として働き続けるにちがいありません。
 1970年代に遺伝の関わる現象がすべてDNAとして研究できるようになり、大いなる変貌を遂げた生物学は、ゲノム研究を契機として国際協力と競争を巻き起こしつつさらに 21世紀に向けて飛躍を続けるのです。

松原謙一(1992ヒト・ゲノムパンフレットより抜粋)

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