原発性免疫不全症の新しい原因遺伝子を同定しました。

2016/7/15

研究開発

(公財)かずさDNA研究所は、防衛医科大学校、東京医科歯科大学、広島大学、岐阜大学、京都大学、名古屋大学や東京大学との共同研究により、免疫不全症の発症に関わる新たな原因遺伝子を発見しました。

原発生免疫不全症とは、先天的な要因により生まれながら免疫系が正常に機能しない疾患の総称ですが、適切な治療がなされないと、生命に関わる重症感染症に罹患し、生活に支障をきたす障害を残す危険もあります。

この免疫不全症の原因遺伝子は300種類以上知られていますが、いまだに原因遺伝子が同定されずに、診断のつかない患者の方も多くいらっしゃいます。研究チームは、原発性免疫不全症データベース(PIDJ)に登録された症例の中から、活性化PI3K-δ症候群(APDS)によく似た臨床症状の症例を2例見出し、次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析(全エクソーム解析)の結果、PTEN遺伝子に変異があることを見出しました。

 

この研究成果は、これまでに診断のつかなかった免疫不全症の患者の方にとって、新たな診断の手がかりとなる可能性があるとともに、患者の方への適切な治療法の選択や、新規治療法の開発にもつながることが期待できます。

本研究成果は、2016年7月14日に公開の米国の医学専門誌、Journal of Allergy and Clinical Immunologyに掲載されました。

論文情報:
Phosphatase and tensin homolog (PTEN) mutation can cause activated phosphatidylinositol 3-kinase δ syndrome-like immunodeficiency.
(和訳)活性化PI3K-δ症候群(APDS)様の免疫不全症の原因遺伝子としてPTEN遺伝子を同定

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