細胞で自己脱落が制御できるヒト人工染色体(HAC)ベクターを開発しました。

2015/4/30

研究開発

 公益財団法人かずさDNA研究所では、これまでに、細胞増殖を通じて安定に分配維持されるヒト人工染色体(HAC)ベクターを作製しています。また、HACベクターに、任意のタンパク質が結合できるようなDNA配列(tetO)を挿入し、分配機能(セントロメア機能)を破壊するタンパク質を結合させることで、HACベクターを細胞から脱落させる技術も開発しています。
今回、セントロメア機能を破壊するtTAVP64遺伝子をHACベクター上に組込むことで、自己脱落制御が可能なHACベクターを開発しました。このHACベクターにより、特定の遺伝子の機能が必要なときにHACベクターによって特定の遺伝子を細胞に導入維持し、必要が無くなればHACベクターごと脱落させて特定の遺伝子を細胞から取り除くことが可能になりました。
HACベクターには、約20万塩基対の長さのDNA断片を挿入することができます。この技術により、細胞への巨大遺伝子の導入や遺伝子改変技術としてのHACベクターの利用価値が高まりました。

 研究成果は、2月20日のNucleic Acids Research誌のオンライン版で公開されました。この研究は、NIH(米国国立衛生研究所)、英国エジンバラ大との共同研究です。

論文のURL:http://nar.oxfordjournals.org/content/early/2015/02/20/nar.gkv124.abstract

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