植物に「虫こぶ」の形成を誘導するペプチド因子を発見

2025/7/30

研究開発

かずさDNA研究所、京都府立大学、京都産業大学は共同で、植物に「虫こぶ」の形成を誘導するペプチド因子を発見しました。

「虫こぶ」は、昆虫が植物に寄生することによって作られます。虫こぶの形成には、植物ホルモン(オーキシンやサイトカイニン)、アミノ酸、タンパク質が関与しますが、この過程を制御する「エフェクター分子」*1はこれまで見つかっていませんでした。

本研究では、ウルシ科植物のヌルデに虫こぶを形成させるアブラムシの一種から、エフェクター分子として「CAPペプチド」と呼ばれる因子を発見しました。また、このCAPペプチドは、植物ホルモン(オーキシンとサイトカイニン)と協働して、シロイヌナズナやムシクサ*2に対してもこぶ組織を形成させることを明らかにしました。これらの結果から、CAPペプチドはオーキシンおよびサイトカイニンと共に、複数の異なる植物に対して虫こぶの形成を誘導することが示されました。この研究で、かずさDNA研究所はムシクサのゲノム解読に貢献しました。

*1細胞内外の特定のシグナルや環境変化に応答して活性化され伝達に関与する、細胞の応答や行動を制御する小分子

*2ゾウムシの一種により虫こぶが誘導されるオオバコ科の植物

 

論文タイトル:CAP Peptides Artificially induce insect-gall-like growth in different plant species

著者:Tomoko Hirano, Tomoaki Sakamoto, Seisuke Kimura, Takumi Nakayama, Mitsuhiko P. Sato, Kenta Shirasawa, and Masa H. Sato

掲載誌:Plant and Cell Physiology

DOI:10.1093/pcp/pcaf061

 

詳しくは京都府立大学のプレスリリース資料をご覧ください。

 

 

 

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