毛髪でバセドウ病リスクを判定ー侵襲性の少ない新たな検出法を開発ー

2025/4/30

研究開発

かずさDNA研究所、株式会社アデランス、伊藤病院は共同で、毛髪からバセドウ病のリスクを判定できる可能性を示しました。

簡易的に健康状態を調べる技術の開発は、病気の早期発見につながることから注目されています。毛髪は血液と比べて、体への負担や一日の中での成分の日内変動が少なく、常温での輸送や保管が可能な特徴を持っています。

自己免疫疾患である「バセドウ病」は女性の罹患率が高いことで知られており、動悸や発汗過多、倦怠感やイライラなどの症状を示します。これは、バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態)によって引き起こされる症状ですが、更年期などと症状が似ているため、発見が遅れて甲状腺の病気と気づかれない場合もあります。

これまでバセドウ病の血液検査では、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)などの量が調べられてきました。しかし、血液と比較して毛髪に含まれる甲状腺ホルモンの量はごく微量であることから、新たな検出方法の確立が課題となっていました。

本研究では、FT3やFT4を約2mg(10本程度)の毛髪から検出することに成功しました。この検出方法を用いた臨床研究の結果、バセドウ患者さんでは血液と同じように毛髪中で甲状腺ホルモンが増えており、毛髪中のホルモン量から高い精度でリスク判定することができる可能性が示されました。今後、本研究の成果をもとに、かずさDNA研究所発のベンチャー「Molefinecare」を通じて、毛髪による健康チェックのシステムとして社会実装を目指していきます。

詳細はプレスリリース資料をご覧ください。

論文タイトル:Application of Thyroid Hormones in Women’s Hair for the Non-Invasive Prediction of Graves’ Disease
著者:Kouhei Igarashi, Chie Takita, Masako Matsumoto, Wataru Kitagawa, Atsuko Ota, Naoko Miyazaki, Koichi Ito and Kazutaka Ikeda
掲載誌:Biomolecules
DOI: 10.3390/biom15030353
Molefinecareホームページ:https://molefinecare.com/home/

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